家族に内緒で個人再生の手続きをする5つの方法と注意点
個人再生の手続きをする時、家族にバレないかどうか不安になっている人も多いと思います。
もし家族に個人再生をした事を知られてしまうと、配偶者や親にも余計な心配をかける事になり、愛想を尽かされるかもしれません。
また、個人再生は自己破産とは違い、3~5年かけて返済していくので、生活費が大幅に減れば家族に我慢を強いる事になります。
そこで今回は、家族に内緒で個人再生ができるかどうか?バレない為の注意点など詳しく紹介します。
個人再生が家族にバレる5つのパターン
裁判所や弁護士事務所からの郵送物
個人再生が家族にバレるパターンとして1番多いのが、裁判所や弁護士、司法書士事務所からの郵送物です。
個人再生の手続きは自分でも行えますが、どうしても法律の知識が必要になるので、ほとんどの人は弁護士や司法書士に依頼します。
手続きが始まると「〇〇地方裁判所」といった送り主の書類が沢山自宅に届くので、家にいる家族が郵便物を受け取ってしまうと完全に怪しまれます。
バレない為のポイント
- 裁判所からの郵便物…開始申立書で郵送先を指定出来る
- 弁護士事務所からの郵送物…任意の郵送先に変更出来る
一見、裁判所からの郵送物は融通がきかないイメージですが、個人再生の開始申立書の中には「送達場所」を指定する欄があります。
この送達場所の欄を「依頼している弁護士事務所」にしておけば、自宅への郵送は回避できます。
また、弁護士事務所からの郵送物は任意の郵送先に変更出来るので、念のため弁護士に相談しておけば、まず家族にバレる心配はありません。
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手続きに必要な書類を見られる
個人再生をするには、利用要件を満たしていてどれだけ借金の返済に困っているのかを証明する為に、何種類もの書類の準備が必要です。
「借金の返済に困っている、、」といった簡単な理由だけでは利用出来ません。
申立て時だけでなく、申立て後にも財産状況等報告書といった書類を数回提出しなければいけません。
書類の概要 | 書類名 |
申立てをする | 申立書 |
経緯の説明 | 陳述書 |
所有する財産の記入 | 財産目録 |
申立人を証明する書類 | 戸籍謄本 |
住民票 | |
財産の証明 | 給与明細書 |
退職金見込額証明書 | |
所得課税証明書 | |
通帳のコピーなど | |
家計の証明 | 家計収支表(家計表) |
債務の証明 | 債権者一覧表 |
住宅ローン特則の利用に 必要な書類 |
住宅資金貸付契約の書面のコピー |
登記事項証明書など |
もし家族と同居している場合は、作成途中の書類を家族に見られ、個人再生がバレるリスクもあります。
書類の内容によっては、家族に聞かないと自分1人では準備出来ないような書類もあるので、結局は家族に知られる可能性もあります。
ただ、個人再生の申請書類は共通しているので、家族に内緒で個人再生をしたい場合は、必要書類の情報は前もって調べておき把握しておく事が大切です。
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マイカーなどの財産を処分した
個人再生を家族に内緒にしながら、突然マイカーがなくなるのはかなり不自然です。
ただ、個人再生をしたからといって、必ずしも車が引き上げられる訳ではありません。
車を手放すケース
- ローンで買った車で、車の名義がディーラーやローン会社の場合
- 高級車などそれなりの査定額がある車を持っている
個人再生をしても、一括払いの購入やローンをすでに完済している場合は車は残せるので大丈夫です。
ローンの支払い中の車でも自分の名義なら手放す必要なないですが、車の名義がディーラーといった所有権留保付きの自動車ローンで支払い中の場合、車は引き上げられてしまいます。
ローン種類によっては車が引き上げられる
- 所有権留保付きの自動車ローンの支払い中:引き上げられる
- 所有権留保が付いてないの自動車ローンの支払い中:引き上げられない
「所有権留保付きの自動車ローン」は、ローンの返済が終わるまで車の所有権はローン会社にあるので、車はローン会社から借りてる状態です。
その為、ローンの返済が終わるまでは完全に自分の車ではないので、マイカーを手放さないといけません。
また、車も財産なので、高級車など現金に換えた時の価値が高い場合、ローンを完済している車でも車を手放す必要が出てきます。
車を残せるケース
- 査定額が20万円以下なら手放さないでもOK
ただ、査定額が20万円程度の価値の車なら資産扱いにならないので、古い車なら持っておける可能性は高いです。
個人再生を相談したときには、できるだけ車を残せないかあらかじめ弁護士に相談しておきましょう。
ただ、どうしても車を残したいがあまり故意に車の名義を他人に変えたり、親戚や知人に頼んでローンの返済をしたりすると法律上個人再生が認められない事もあるので要注意です。
個人再生をした場合の自家用車の取り扱いについては、以下のコラムでも詳しく解説しています。
クレジットカードが使えなくなった
キャッシュレス化が進む中、普段クレジットカードを利用している人も多いと思います。
公共料金の引き落としをクレジットカード決済にしていたり、家族カードを作っている場合、突然カードが使えなくなると家族に疑われる可能性も出てきます。
利用中のクレジットカードはどうなる?
- クレジットカードは強制解約される
個人再生をすると、クレジットカードは強制解約されて使えなくなります。
クレジットカードを紐づけたスマホ決済だと、クレジットカードからのチャージが出来なくなるなど、あらゆる決済に不具合が出てきます。
個人再生を家族に秘密にしておきたいなら、再生手続きをする前に各種料金決済方法を口座引き落としへ変更しておきましょう。
個人再生をすると本当にクレジットカードは使えなくなるのか?と疑問に思う人の為に、テレビCMでもおなじみの人気のクレジットカード「楽天カード」の会員規約を、一部抜粋して紹介します。
楽天カード会員規約
第19条(カード利用の停止、会員資格取消し)
当社は、会員が次の各号のいずれかの事由に該当した又は当社が該当したと判断した場合、会員資格を取消すことができ、加盟店等に当該カードの無効を通知又は登録することがあります。(中略)
・差押・破産・民事再生申立・取引停止処分があった場合等会員の信用状態が著しく悪化した場合
引用元:楽天カード利用規約
この中でも、再生手続きをした場合は「クレジットカードの会員資格を取り消す」と記載されています。
比較的に審査基準がゆるい楽天カードでも手放さないといけないので、個人再生はそれなりの覚悟が必要です。
家計簿の作成で配偶者に相談した
個人再生の申立て手続きでは、家計を証明する為の「家計収支表」の提出が必要です。
家計収支表で記入する内容
- 収入…給与、預貯金、雇用保険、年金など
- 支出…家賃、光熱費、医療費、交通費など
この家計収支表作るには、給与や預貯金などの収入と、家賃や光熱費、医療費といった支出を事細かく記載しないといけません。
妻が家計のやりくりをしている場合「通帳や保険証書など、どこにしまってあるの?」と尋ねた事をきっかけにバレる可能性があります。
家族全員の家計収支表を用意するのはかなりハードルが高いので、個人再生の手続きの中でも気を付けないといけないポイントです。
バレずに進めるのが難しい手続き
- 配偶者に収入がある場合はその家族の収入証明書も必要
配偶者に収入がある場合、その家族の収入証明書が必要です。
同居する家族が無収入で家計収支表を黙って用意出来る場合はバレずに済むかもしれないですが、夫婦共働きのパターンだと「収入証明書は何に使うの?」と怪しまれてしまいます。
ちなみに、銀行融資を受ける際にも収入証明書類は必要なので「銀行に融資の相談に行くから確定申告書の控えを用意して欲しい」など、納得させられる言い訳を考えておくといいかもしれません。
以下の日本弁護士連合会の公式サイトには、個人再生の手続きに必要な書類が細かく載っています。用意するのが難しい書類など事前に確認しておきましょう。
個人再生に必要な書類一例
引用元:日本弁護士連合会/個人再生手続参考書式※東京地裁モデル
個人再生の官報掲載が家族にバレる可能性
個人再生で官報に掲載されるタイミング
個人再生が家族にバレるケースとして、官報への掲載も考えられます。
個人再生をすると、官報という国の広報誌に名前や住所が掲載されます。
掲載される情報
- 手続きをした裁判所
- 手続きをした日時
- 申立人の氏名
- 申立人の住所
情報の掲載は1度だけでなく、開始決定時、書面決議の時、再生計画の認可決定時の合計3回も名前が載ります。
注意点
- 官報は誰でも購読出来る
官報は通常、役場などにしか置かれていないですが、ネット版なら家にいながら誰でも購読出来るので、家族に見られる可能性もゼロではありません。
ただ、官報は休日以外は毎日更新されていて、その情報量は膨大な為、一個人の名前を見つけ出すのは困難です。
その為、よほどの事がない限り、官報が原因で個人再生が家族に知られる可能性は低いでしょう。
ポイント
- ネットで名前を検索されても出てこない
ちなみに、ネットで名前を検索したら出てくるの?と不安になる人もいると思いますが、ネット版の官報はPDFとしてアップされているので、名前を検索しても引っかからないので安心して下さい。
参考URL:インターネット版官報
家族にバレない為の対策
家族が連帯保証人になっている債務がある場合
いくら対策をしても家族がローンの保証人になっている場合、個人再生はほぼ確実にバレます。
なぜバレる?
- 保証人は借金を支払う義務があるから
個人再生の手続きを申請すると、ローンの返済は一時的にストップされ、支払いが滞った状態になります。
自分で借金が支払えなくなると、次は連帯保証人である家族に返済を求めてきます。こうなると、家族に内緒で個人再生の手続きを継続するのは難しいでしょう。
もし、自分が抱えているローンの保証人を家族や親戚などにお願いしている場合は、事前にきちんと説明しておく事をオススメします。
個人再生ではなく任意整理で債務整理する
債務整理の中でも、任意整理は唯一裁判所を通さずに手続きする方法なので、1番リスクの少ない債務整理方法です。
債務整理は3種類ある
- 任意整理…裁判所を通さず直接交渉で借金を減額してもらう方法
- 個人再生…裁判所を通して借金を減額してもらう方法
- 自己破産…借金を帳消しにする代わりに財産没収
任意整理で債務整理をすれば、複数から借金をしている場合に、一部の借金だけに発生する将来利息をカットしてもらえます。
例えば、連帯保証人がいるローンなど家族に迷惑がかかる借金はこれまで通り支払いを続けて、消費者金融の残債だけを整理出来るので、家族にバレずに進める事は比較的簡単です。
注意点
- ローンやクレジットカードは強制解約される
ただし、任意整理をしたローンやクレジットカードは強制解約になり、強制解約されると信用情報機関には事故情報として登録されてしまいます。
信用情報機関に事故情報が登録されている状態が、いわゆるブラックリスト入りしている状態で、ネガティブな情報が残っている間はローンやクレジットカードの新規契約が出来ません。
登録された事故情報が削除されるまで5~10年かかるので、場合によっては家族に知られるケースがある事は覚えておきましょう。
まとめ
出来れば家族に正直に相談するのがベスト
個人再生をする人の中には、弁護士からの連絡を恐れて自分で手続きしようとする人もいます。
個人再生の手続きは個人でも出来ますが、弁護士に依頼すると裁判所の手続きや債権者との交渉を有利に進められるメリットがあります。
また、弁護士も可能なかぎり家族や職場にバレないような対策を考えてくれたり、プライバシーへの配慮もしっかりしてくれます。
弁護士依頼の費用
- 30~50万円程度
弁護士に依頼すると30~50万円程度の費用がかかりますが、個人再生が認められないリスクを考えれば、最初から弁護士に依頼するほうが賢明です。
弁護士に委任した時点で、債権者からの請求や取り立てがストップすることは、精神的にもかなり楽になります。
また、素人では難しい申立書類や再生計画案の作成など、複雑な手続きも代行してもらえます。
最終的に弁護士に委任するかどうかは別にして、個人再生の手続きをしたいと思った時点で、まずは弁護士事務所へ相談する事をオススメします。
以上、家族に内緒で個人再生の手続きをする5つの方法と注意点でした。
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(参照:家族に内緒で個人再生の手続きをする5つの方法と注意点)